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④ 『黒鍵』 ―― 青空阿季雄  詩歌句集 (2017.01.26) 


 上は Tanikawa Shuntaro 氏に見ていただいた、院長の愛着のある自作詩です。

         *

~~「夏野小景」~~

夏だ祭りだ、虫たちの
七色玉虫の
角突くクワガタの
つわ者蝉の鳴き盛る

野中木蔭のハンモック
望みは入道雲より高く
いい夢を見て昼寝して
いい子になって塾通い

目覚める頃です中学は
免疫できますシツレンに
絵を描こう補習授業の君を

エイッ!と勇気の出し所
ジーンズ太腿破ろうか
時間盗み遊ばう学ばうノッペラ坊。

 上はカテゴリー・マスターとして院長がYahoo!に投稿しました。

*マスメディアの方へお願い; 詩壇・歌壇・俳壇・結社・出版社・新聞社によらない、ネットによる発表
の芽を盗作から保護してください!
 

~~「白鳥の歌 三首」~~

鳥まふも しら鳥舞ふも とりまふも 摩耶の遠山澄みたる朝は

ここまでの白さの鳥よ あまねくの靡ナビかふまでの羽風して翔べ

何にか換へむ 羽交ハガひの裡ウチに頸垂れて
  咥クハへ抜く羽根  矢よりも疼イタし

(上二首「京大短歌」に既発表、
三首目 塚本邦雄 主宰「玲瓏」に既発表)。

         *

―― ☆~ 星の王子 三首;「精神医学はね、唯一目に見えない医学なんだ」 

背後より膝折る風は危うくて直線の上に吾アは立ちにけり

少年の墓碑の浮彫レリーフ幽カソかにし頸クビ曲げている小鳥を持てる

出生の銀河ナポレオンの鼻腔ビクウなど原子の履歴知るすべも無く

         *

~~「俳句」~~

先づ隗カイより始めよと桃咲き出づる

維新の志士はいづれ童顔花薺ナヅナ

龍の髭ヒゲかすめし山の霧ならむ

瀧をなして黄葉落としをり大銀杏樹オホイテフ

荒磯海アリソウミに臨みて朱し雛の段

父のシの間近きを積乱雲高く

鮎の夏渓谷タニ溯上サカノボる力充ミつ

八千草咲く庭持つひとと逢へりけり

朝まだき鵟ノスリ潜めり黒紅葉

烏揚羽粒光ボソンに撃たれつつ翔べり

権禰宜ゴンネギとの会話温ヌクトし初詣

しばれ雪夢固かれと願ふのみ

懸命の淑気の応イラへ福娘

(全て発表済み)。

                   *

 ◎ 連作 「雪来る前を」 ・(塚本邦雄主宰) 玲瓏29巻224~225頁に発表済み

1.きらきらと金網の中に湛タタへゐる夕陽を截れり遠きラケット

2.唄ひつつ血は透きとほる フリージア畑に誰を追ひしならねど

3.埋葬を終へしと思ふ慕情など噴き上げてをり苑の噴水

4.くちびるは草絮ワタより淡く開きゐて雪来る前を汝ナレは薫れる

5.切崖キリギシに添ひて堕ちゆく岩燕 渇き遥けく胸合はせたし

6.冬深き底燃え昇る白炎に蹄灼くまで降オり来る天馬

7.没イり際の陽の紅孔雀抱擁のためにひろげむわが燃ゆる腕

8.証アカし合ふごと胸寄せて辿り来ぬ汝ナが魂の底の飛火野トブヒノ

9.くちづけは秋風に頸揺りている釣鐘草カンパネラほど拒まれたりき

10.弾道の愛をたしなめゐる汝ナレと午後の疎林を貫ヌきて鶺鴒

11.酸漿ホホヅキの内なるラムプ灯りゐりか ほのぼの朱しこの人の頬

12.人魚にはあらざる由美子抱く浜に四肢はしづくのごとく垂れゐて

13.汝ナが胸のやさしき埠頭目守マモりゐて騒立つ時も凪ぐときも海

14.初めての唇クチ触るるなれ吾亦紅ワレモカウの花の向かうも眩しくはなく

15.青春の屈葬と言ふな口惜しく抱けば汝ナレは甕より重き

16.露充ミてる甕にわが胸押しつけて花の重きを揺すりて止まぬ

17.飜ヒルガヘる波濤を仰ぎ眼を閉づる汝ナレは懼オソるることなど知らず

18.何にか換へむ 羽交ハガひの内に頸垂れて銜クハへ抜く羽根矢よりも疼イタし

19.遠つ浜に寄せては返す波の色 拒まれし日はひと際碧し

20.膝立てて汝ナが凭モタれゐる籐の椅子に波寄するなり遠き島より

               *


~~呪文  (京大短歌 No.5)~~

地に低く屈クグまりてあれば草の葉に砂ふりかけてゆく沓クツの人

エンジンの冷えし車に人ひそむを知らざりき吾アをうかがうものを

砕かれて木片は散れりここもとに薪マキをくだける男はありき


高さ50センチ涙は湧くものを海な沈めそ姫百合の塔
               
               *

~~~ かみ・ひとへ(発表済)~~~
                         
                  「我の背向ソムきて行かざる道に
                   一切の樹木みな斬キられたり」
                          ―― 朔太郎 ――

かたくなの心と言うな凝灰岩ギョウカイの壁もわらわらと崩るるものを

辛くも 酸性土壌に根付いたる木の根の痛みよ白髪が増える

柔らかき土に喰い込み奪い取る黒き樹木の根のシルエット ('18/6/2発表)

落雷を受けし樹木の脊髄の亀裂乾ける白やわらかき

九月ナガツキの一樹は枝を捥モがれしか芽吹く不意打ちのごとき新緑

自動車は紅葉一樹に真向かえり星座のごとし一葉ひとはは

ひとしきり太樹はきしみ伸びをせりまつわる蔦を切りて枯らしつ

煎イりつけて意識のごとき太陽に本意ホイの向日葵黄キイさえ乏トモし

花弁鋭き赤き菊花がシュニッツラー輪舞のごとく回旋マワる一瞬

王室を引き絞り来し黄の薔薇も八方微塵ミジンに飛散せりける


    
            *

平成31年歌会始のお題「光」に寄せて

宵宮に吉兆を売る灯ヒの光
         瞳ひとみにうつり華やぐ
(発表済み)。

            *