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5.子守唄効果――「たましずめ」と「たまふり」

お経の調べを心なぐさめる音楽として受け身で聴く段階。一種の音楽療法。
音楽としての読経は声明(しょうみょう)と呼ばれ、現代音楽作曲家から熱い注目を浴びています。「受け身で」と書きましたが、実はお経に対して心を開いて「エイヤッ!」と読経療法に飛び込む最初の大事な段階で、最もエネルギーを必要とし、そのエネルギーを救いの向きへと整えてゆくのです。もちろん「読経療法とはいったい何なのか? あやしいものではないのか?」と半信半疑で味見をし、冷やかしに来る段階とも言えます。

『源氏物語』の例えば「若紫」の巻にも出てきますが、加持祈祷(かじきとう)といって、昔は病魔を追い出す「たましずめ(魂鎮め)」の儀式として、広く読経が行われました。荒ぶる魔物のたましいを鎮めるのですから、過剰なストレスにむしばまれた人間の心を鎮める効果があるのはもちろんです。

「たましずめ」の反対を「たまふり(魂振り)」と言いますが、認知症や重症のうつに対して読経療法は停滞した心を持ち上げる刺激効果もあることを実証していきたいと考えています。気のおけない仲間に交わって会話を楽しみ、お寺の清掃奉仕などの軽作業に参加し、難しいお経の漢文に眼と耳からごく自然に慣れ親しみ、学習し認識し、横隔膜を含めた発声器官を駆使して自発的に読み上げていくことを日々続ければ、大脳前頭連合野を中心とする認知機能を刺激・鍛錬・保持・向上し、認知症になるのを予防することができます。

読経の過程で自然に身につく深呼吸法は、酸素を最も要求する臓器である脳に酸素を送り込み、代謝を活発にします。読経を続ければ全身に汗をかきます。余分なカロリーを燃やすこともでき、腹部の脂肪が腹筋に置き換わるエアロビクスの一つとも言えます。

昔は人生50年と言われました。がんで53歳で早逝された道元禅師を例外として、日本仏教の祖師がたには長生きされた方が多い(釈尊80歳、親鸞89歳、一休88歳、蓮如84歳、白隠83歳、法然78歳)。長生きの理由としては精進料理というヘルシーな食生活も考えられますが、全心身行としての読経も一因であると思います。お経にはQOL(生活の質)を高度に保持したままでの延命効果があると思います。

お経やお坊様の講話を聞いて、退屈してうつらうつらと眠くなった経験をお持ちの方もおられるのではないでしょうか。私はそのことを肯定的にとらえています。眠くなるのは良いことなのです。それを昔から法悦(ほうえつ)=仏法を聴く悦(よろこ)びと呼びならわしています。これは「たましずめ」の一つです。

お経を迎え入れる構えで心を空っぽにし、くよくよした思いわずらいから離れ、緊張をゆるめてリラックスし、心を快い声の調べで満たすのです。