カウンセリングとお薬で治療をしますが、むしろ神経症の方が精神病よりも軽いけれどもだらだらと長引いて治りにくいと言えます。また、厚生労働省医政局長から再三通達があり(H20.3.31および同11.4)、神経科という科目名は廃止されることになり、神経内科という呼び名に変わることになりました。
一般の方は、大病院の神経内科と、クリニック(=医院=診療所)の神経内科を区別された方が分かりやすいと思います。つまり脳梗塞・脳出血・片頭痛や、てんかん・パーキンソン病・筋ジストロフィーなどを診るのが、大病院の神経内科です。クリニックの神経内科は、以前からの神経科と同じです。
しかし「神経症」も「神経科」も古臭い言葉になりましたが、反面、伝統のある概念・呼び名であり、しかも精神科とはきつい言葉なので、おかみの意向とは裏腹に、神経症と神経科という用語は、今後もしばらくは混乱を伴いながら残り続けることでしょう。 おかみは通達による現場の神経内科医・神経科医の当惑をご存知かどうか? やがて精神神経科という呼び名に落ち着くかもしれません。
大病院の神経内科は脳細胞や神経細胞にダメージのある方を診ます。パーキンソン病とは体が硬直し、手の指がたえずふるえ、体の動きが意のままにならない随意運動の障害が見られる病気です。原因は分かっていませんが、脳の中のどの部分が壊れているかは分かっており、かなりの程度まで飲み薬が効きます。
脳梗塞は、動脈硬化により脳の中の血管が詰まって脳の中の一部分の脳細胞が死んでしまうために起こります。脳出血や脳梗塞が起こると、左半身または右半身の麻痺が起きます。大脳の左半球のダメージで右半身の麻痺が起こり、右半球のダメージで左半身の麻痺が来ます。大脳から腕や足を支配する神経の束が降りているのですが、首の上あたりで右から左へ、左から右へと神経が交叉しているのです。脳梗塞で右半身麻痺の患者さんでは、左半身麻痺の患者さんよりも言葉の障害が重いと言えます。言葉を司る大脳の場所を言語中枢と言いますが、ふつう言語中枢は左半球にあります。そのため右半身と言葉は同時に障害を受けやすいのです。
他の細胞と違って脳細胞は一度壊れるともう一度働きを取り戻すことがたいへん難しいのです。脳梗塞の治療はリハビリテーションによって今までに使っていなかった脳細胞を活性化することを目指しますが、これがたいへん難しい。神経内科の患者さんより精神科の患者さんの方がよく治ると、おおざっぱには言えます。