ここで専門用語の解説をしておきたいと思います。心療内科と神経内科、神経科とはどう違うのかという問題ですが、だいたい同じと考えてよいと思います。心と体は本来一つのものだと見る立場を強調するのが心療内科です。ストレスから胃潰瘍・十二指腸潰瘍や高血圧が起こります。胃潰瘍や高血圧の薬だけでは効かず、安定剤を重ねて処方しカウンセリングすると良くなることが多いのです。このように心と体の両方がその病気の原因となっているものを心身症と呼びます。心と身体の病気と書きます。心身症を診るのが心療内科です。過敏性腸症候群、喘息、アトピー性皮膚炎、肥満、糖尿病、過呼吸症候群、円形脱毛症なども心療内科で診ます。自律神経失調症は欧米にはない病名で、それに相当する翻訳英語がありません。
自律神経には交感神経と副交感神経の二つがあります。目の前にあるコップを取ろうとすると右手を伸ばして取ることができますが、それには意識がはっきりしている必要があります。意のままになる随意運動は運動神経が司っています。ところが睡眠中に意識がなくなっても、呼吸や心臓の動きや胃腸の蠕動運動、尿や便を作る働きは24時間休むことがありません。これらを司っているのが自律神経です。疲れやストレスが自律神経にも影響して先ほど述べた心身症になるのです。自律神経失調症と心身症はほぼ同じと考えてください。